時代はどんどん進んでいく。私の把握できないくらいの速度で世界が変わっていく。 「でさー、俺このまえ新しい脳買っちゃったよ」 「うっそ、まじで!?」 会話の言葉自体は十年前の中高生とさして変わらないかもしれないが、こんな会話は 十年前には出てこなかっただろう。私もつい最近になって聞くようになった。 「新しい脳いいぜー? なんつーか、今まで以上に色んな事学べるし」 「例えば例えば?」 あの語尾上げの口調はどうにかならないものか。何より、その十年前の中高生の言葉 は今は誰も使っていない気がするのだがなぁ。最近のニュースで出てきた流行言葉と言 えば『マジカル』という言葉があった。オタク文化の育った日本もついにここまで来た か、とため息をついたのはよく覚えている。実際の意味は別にオタクがどうとかそうい うものではない、と友人が教えてくれた。少し安心した。 「あれは、『あの親父狩り時じゃーん?』『マジカルマジカルー』というような時に使 われる、つまり『本気で狩る』て意味だぞ」 それこそ聞かなきゃ良かったと更にため息をついてしまった。今年小学校に入学した 私の息子も最近『マジカルマジカル』言い出し始め、昨日、何処で手に入れたのか分か らない汚れた諭吉を自慢げに私に見せていた。既に一万円札の人が鈴木宗雄になってい る昨今で、何処に諭吉を持っているような人がいるというのか。若者はまず持っていな いだろう、ということは後考えられるのはそれ以上の年齢だろう。これ以上考えると自 分の子どもを警察に突き出すという最悪のシナリオができてしまいそうなので、考える のを止める事にした。 まだ車は空を走らないが、十年間でこの世界は確実に変わりつつある。少年犯罪の低 年齢化にハイテク化と、ネガティブに進行する面が多々にあるが。 しかし僕が十年間で一番変わってきたと思うのは 「何、お前らまだ脳とか言ってんの? 古いなー」 「あ、FMV先輩じゃないですか」 僕はまさかこの十年間で 「脳じゃなくてCPUとかハードディスクとか、ちゃんと言えよ」 「良いじゃないですか、人間のそれと似たようなものでしょ」 彼ら、というかパソコンが自我を持って喋りだしたことだろう。 しかも、愚痴まで言う。 「でも俺のご主人貧乏でよー。 給料をこの前若者にむしられたとか言ってたんだよ」 目の前で私の事を言ってるこのパソコンにどういった処罰を与えるか私は考えた。 「まず、電源抜くか」 今日も私の家は平和だ。 |